2011年03月03日

カミラ・レックバリ著 説教師・エリカ&パトリック事件簿

宝島社の『このミステリーがすごい! 2011年版
』を最近借りて読んでいたら、以前読んだカミラ・レックバリの新刊が出てたことを発見し、すぐ購入。




●感想
前作でカップルとなったエリカとパトリックは結婚し、エリカのお腹の中には、新しい命が宿っていた。すでに生まれるまであと1ヶ月ちょっと。幸せながらもエリカは母となる準備段階に苦労していた。
ある日、映画の1シーンにも使われたというフィエルバッカにある「国王の洞窟・クングスクリュフタン」で、若い女性の死体が発見された。フィエルバッカの刑事パトリックは、休暇中だったものの事件の一報を受け、現場へと向かう。青あざや切り傷など、多くの傷跡を残すその死体を鑑識のために袋へと移すと、その死体のあった場所からさらに2つの人骨が発見される。年代的にはかなり古いと推測される謎の2つの人骨。同じ場所に何年も前からあったのか?そして事件かどうかわからないにしても、長い間2人の人間が何らかにより死んだことを放置していたのか?また、死体の若い女性はどうしてこんなところで死んでいるのか?パトリックは予想以上に大きな事件を抱え込むこととなる。

著者は舞台となっているスウェーデン・フィエルバッカ出身の作家カミラ・レックバリ。エコノミストとして働いた後に作家に転身。2005年にSKTF賞「今年の作家」賞、2006年に国民文学賞を受賞し、エリカ&パトリック事件簿シリーズは2009年時点で7作となっている。(本著は同シリーズの第2作である。)
(以下、ネタバレあり)発見された若い女性の遺体は、ドイツから旅行中の女性と身元が判明した。また、古い人骨はそれぞれ1979年に失踪した女性シーブとモーナと判明する。1979年の2人が失踪した際には、大規模な捜査が行われたが、何一つ証拠は出てこなかった。ガブリエル・フルトが弟のユハンネス・フルトの車にシーブが乗っていたとの身内からの通報以外は。当時の捜査によると、ユハンネスは殺害の動機がないとの判断で釈放されていた。しかし、容疑をかけられたユハンネスはその2週間後に自殺し、結果としてその状況がなおのことユハンネスへの嫌疑を深めるものとなっていた。

フルト一家−−。その昔、説教師と呼ばれた自由教会司祭エフライム・フルトが、世間には詐欺師、山師と見られていたものの、ガブリエル、ユハンネスの二人の息子を使い、異言を口にさせ、あらゆる病気や体の不自由な人々を癒し、熱心な信者を獲得していた。そんな彼の熱心な信者である富豪の婦人から財産を遺贈され、その後は遺贈された財産の一つであるフィエルバッカの森林にある豪邸で過ごしていた。現在は、ガブリエルの息子ヤーコブがその信仰集団を支えていた。
エフライムの死後は、その豪邸をガブリエルが相続し、ユハンネスの妻ソルヴェイグとその子供たちは、傍らの小屋に住んで生活していた。そして、今回の事件の一報は、彼らフルト一家にも届いていた。過去のガブリエルの証言により世間から非難された故ユハンネスの家族は、自分たちがこれまでなめてきた辛酸から開放されると考える。

フィエルバッカ警察がドイツからの旅行中の女性、そして古い2人の人骨に関する調査を進める中、またしても若い女性が失踪する。ドイツから旅行中だった女性は失踪後1週間は生存していたと鑑識は見ていた。新たな犠牲者を食い止めるため、パトリックは急いで捜査へと出る。


前作では、エリカとパトリックが互いを補完しあいながら事件を解決していっていたが、今回はエリカが妊娠中ということもあり、パトリックの独壇場。そして、捜査対象がカルト集団とも換言できるような信仰集団を率いるフルト一家であり、強力な個性の持ち主達のちょっと風変わりで、愛憎うごめく一家の状況が、捜査をなおのこと難航させていた。捜査については、前回あまり活躍していなかった警察内の同僚にも大きくスポットが当てられ、マーティンは良き後輩として成長を感じさせる位置にいた。
一方でエリカはというと、今回は妊娠中のためほとんどお休み状態だったが、母になることへの意識の変化、エリカの妹アンナの状況を知らされたこと等は、おそらく今後のシリーズ作品へ影響を与えるネタとして、しっかりと痕跡を残していると感じられた。(シリーズ化という点が強調されている気もしているが)

今回の作品では、事件解決への決め手が非常に稀な事また理由も想像しにくいことから、読み終えた後は若干消化不良を感じたかな。てっきり、パトリックと同様にガブリエル、ユハンネス、ローバット、ユーハン、ヤーコブ以外にフルトの血を引くものがいると考えちゃったし。

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