サイモン・シンの『フェルマーの最終定理』『暗号解読』に続く3作目。
宇宙創成〈上〉 (新潮文庫)
宇宙創成〈下〉 (新潮文庫)
●感想
我々現代人にとって主流な概念となっている宇宙の始まり、
ビッグバン・モデル。
古代から永遠の謎であり、また興味の対象であり続けた宇宙が
いかにして現在認められているビッグバンを必要としたのか。
解明に携わる学者達の観察と検証方法、有力モデルの変遷、
物理学的か神学的かという考え方の根幹による誤解等を
いつものようにドラマチックに描いた作品。
(以下、ネタバレあり)著者サイモン・シンの描写力、構成力は、
もう言及する必要もないでしょう。
本作の特徴として、
『フェルマーの最終定理』『暗号解読』と比べ、
章末に時間経過に合わせイベントのサマリがつき、
読み手への配慮が伺える。
最後にそれらをまとめた別表などがあれば、
もっといいかなとも思う。
本作は、宇宙の始まりとして我々が認知している
ビッグバン・モデル確立までの学者達の航路を示している。
色々な発見や驚きがありすぎて、
詳細まで紹介することは困難であるため、
自分が特に印象深かった部分を紹介する。
まず、天動説・地動説を学校で学んだ際に出てきていた
プトレマイオス、コペルニクス、ガリレオの他、
ティコ、ケプラーといった重要人物の存在。
ケプラーは名前を聞いたことがあったが、
どのように活躍したかは知らなかった。
次に相対性理論が核融合、核爆発に与えていた影響。
光より高速に動くことと時間に与える影響に関しては、
一般相対性理論の一部としてよく知っていたつもりであったが、
この重力に対する認識以上に大きなインパクトを持つ
エネルギーに対する影響について、本作で十分理解できた。
そしてアインシュタインの犯した大きなミス。
身についた考え方の根は、やはり深いんだと再認識した。
最後に、ビッグバン・モデルと定常宇宙モデルの
長きに渡る勢力争い。ビッグバンの単語が皮肉にも
相手から発せられていることに驚きである。
次回の著作が待ち遠しい。
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